「腰が痛くて何もやる気になれない…」と、なかなか消えない腰の痛みにお悩みではないでしょうか。
腰痛には軽度なものから、立っていられないような重度なものまで様々なタイプがあります。
こちらの記事では、以下について紹介しています。
- 腰痛の原因
- 骨盤のタイプチェック
- 改善エクササイズ
普段パーソナルトレーニングを提供していますが、腰痛でお悩みのたくさんの方のトレーニングを担当させていただきました。
その経験を踏まえてこちらの記事を書きましたので、是非ご参考にして頂ければ幸いです。
腰が痛い3つの原因

腰痛には主に以下のような3つの原因があると考えられています。
- 日常動作が正しくない
- 関節が機能していない
- 神経や筋肉の緊張
もちろんこれら以外にも腰が痛くなることはあり、まずは病院で1度診察を受けることをお勧めしますが、どんな腰痛も日常動作へのアプローチが必ず必要になります。
1.日常の座り方が腰痛に与える影響

多くの体の痛みの原因は日常動作の悪い癖であることがほとんどです。
例えば普段「デスクに長時間座りっぱなし」ではないでしょうか。
座る姿勢が悪いのであれば、その姿勢の悪い時間を長く過ごしてしまっているということです。
日常の癖そのものが、あなたの今日のコンディションを作ります。
いつも甘いものを食べてしまう人が太ってしまうのと同じようなものなんですね。
「自身にとっての良くない習慣は何か」これを解決しない限り、根本的な解決は難しいと言えます。
2.関節の機能

腰痛の場合、背骨や骨盤の関節の動きが悪くなっていることがかなり多いです。
すべりの悪い関節は錆び付いた機械のようなもので、うまく動くことが出来なくなっています。
ですが実は関節は積極的に動かすことで今よりも動くようになります。
腰痛の人は痛くなるのを恐れて関節を動かすのを敬遠しがちですが、関節を動かさなくなればより硬くなってしまい症状は悪化してしまいます。
今回は関節を動かすエクササイズも用意していますので、少しずつ挑戦してみましょう。
3.腰痛に影響する12の筋肉
部位毎のイメージをつけることでエクササイズの効果を出しやすくなりますので、腰痛に主に影響する筋肉を紹介します。
腰周りの筋肉/脊柱起立筋・腰方形筋

腰回りの筋肉である脊柱起立筋と腰方形筋です。
脊柱起立筋は主に姿勢を保持する機能を持ちます。
多くの腰痛持ちの方は脊柱起立筋の持久力が低いといわれており、良い姿勢を長く保とうとすることが大切です。
また、脊柱起立筋が強く張り過ぎてしまうと反り腰気味になってしまいます。
腰方形筋は背骨と骨盤を左右に繋ぐ筋肉で、上体を左右に倒したり腰を反らせるような動きをします。
腰方形筋が硬くなってしまうと左右の骨盤の高さが変わってしまったり、背骨を歪ませてしまいます。
お尻の筋肉/中殿筋・大臀筋・梨状筋

お尻周りの中殿筋と大臀筋と梨状筋です。
中殿筋は主に股関節を安定させる機能を持ちます。
中殿筋が弱くなると股関節を安定させられずに体全体の重心が下がり、腰への負担が大きくなり腰痛として身体に出やすくなります。
大臀筋は仙骨と大腿骨を繋ぎ、骨盤を支える土台として非常に重要な筋肉です。
仙骨は背骨全体の土台になる骨で、仙骨のポジションが腰痛に大きく関係します。
腰痛を持つほとんどの方は大臀筋が弱り、仙骨を正しく支えられていません。
腰痛にはストレッチが有効ですが、お尻の筋肉をしっかり鍛えることもかなり大切です。
梨状筋はお尻の深部にある筋肉で、股関節の動きに影響します。
梨状筋のすぐ隣に坐骨神経が走っているため、梨状筋が収縮してしまっている人は坐骨神経が圧迫され、足先が痺れやすいこともあります。
太ももの筋肉/ハムストリング・腸腰筋・大腿直筋

筋肉データ:「半膜様筋」「半腱様筋」「大腿二頭筋」「腸骨筋」「大腰筋」「大腿直筋」
太ももの筋肉のハムストリングスと腸腰筋と大腿直筋です。
ハムストリングスは骨盤からスネの骨に付着しており、主に脚を後方に出したり、膝を曲げる動きを行います。
そのため硬くなると前屈が苦手になったり、骨盤が後方に引っ張られて丸腰の姿勢になりやすくなります。
腸腰筋と大腿直筋は主に股関節を曲げる機能を持ちます。
身体の前面に筋肉が付着していますので、硬く縮まると腰が反ってしまい骨盤の前傾が強くなります。
お腹が出過ぎている人は脂肪の重さによって反り腰や骨盤前傾になってしまいますが、太り過ぎて腰痛持ちといういう人はダイエットの記事を参考にしていただければ幸いです。
コルセット的な役割を持つインナーマッスル

コルセットは腰痛を軽減してくれますが、身体の筋肉でコルセットの機能を取り戻すことが非常に重要です。
体幹部の深部にあるインナーマッスルと呼ばれる筋群が、コルセットと同じような機能を持ち、腰痛を緩和させます。
- 横隔膜(上から支える)
- 多裂筋(背面から支える)
- 腹横筋(前、側面から支える)
- 骨盤底筋(下から支える)
横隔膜は肋骨の底を覆うように付いており、横隔膜に力が入らないと肋骨が下がり、猫背気味の姿勢になりやすいです。
多裂筋は脊柱を安定させます。
コルセットの後ろ側といったイメージで構いません。
腹横筋はお腹全体を覆い、お腹を凹ませる力を持っています。
まさにコルセット的な機能を持ちます。
骨盤底筋はお尻をギュッと閉めるような力の筋肉です。
他のインナーマッスルと共に力を入れることで体幹部をより安定させることが出来ます。
腰が痛くなりやすい骨盤の前傾と後傾チェック
私が実際にチェックする訳ではないので腰痛のタイプを断定できる訳ではありませんが、ご自身でも姿勢のタイプはある程度評価することが出来ます。
骨盤の前後の傾きに注目し、後のパートで適したストレッチを紹介します。
もちろん骨盤の前後の傾き以外が原因であることも多いですので、一つの目安としてご覧ください。
骨盤は背骨の土台

上の画像のように、背骨は構成されています。
- 7の頸椎
- 12の胸椎
- 5の腰椎
その背骨を土台として支えているのが、骨盤にある仙骨という骨です。
骨盤が傾いてしまうと仙骨が背骨を正常に支えられず、歪みが生じてしまいます。
背骨の歪みが腰痛を引き起こしますので、まずは骨盤の傾きをチェックする必要があるということですね。
オフィスワーカーに多い後傾タイプの姿勢と硬い筋肉
まずは骨盤後傾タイプです。
骨盤が後ろに傾き、下の画像のように腰が丸まってるタイプです。

後傾タイプの方の特徴としては、前屈がすごく苦手です。

逆に後屈という後ろに反る動きは得意だったりします。

後傾タイプの方は日常的に腰が丸くなっており、腰が丸まることで腰椎(腰の背骨)が本来のカーブを維持できなくなり、腰痛になりやすくなっていしまいます。
以下のような姿勢で椅子に座る方は要注意ですね。

せめて腰が丸まらないように、これくらいで座りましょう。

骨盤後傾タイプが硬い筋肉は前述した大臀筋やハムストリングスですね。
関連記事:骨盤の後傾を改善!後傾タイプの原因と筋トレ!を見る >>
骨盤前傾タイプの姿勢と硬い筋肉
次は骨盤前傾タイプです。
骨盤前傾タイプは一般的に反り腰と言われる姿勢で、後傾の全く反対のタイプです。
このような姿勢です。

前傾タイプの方は前屈は得意ですが、後ろに反る後屈が苦手です。

主に骨盤の前傾に関係する筋肉は脊柱起立筋や腸腰筋、大腿直筋です。
股関節を前方に曲げる機能を持つ腸腰筋や大腿直筋は、骨盤を強く前傾させます。
骨盤が前傾すれば自然と腰が反ってしまいますので、腰の筋肉は縮み、硬くなりやすくなります。
前傾タイプの人も硬い筋肉に対してストレッチなどでアプローチする必要がありますね。
まずは骨盤・太もも周りの6つの筋膜リリースで効果倍増!

ストレッチやトレーニングをやる前に筋膜リリースを行うことで効果が上がります。
筋膜リリースとは筋肉に圧をかけることで、筋肉を覆っている筋膜という組織を緩めます。
筋膜リリースをすることで血行が良くなり、筋肉の硬さをある程度取り除くことが出来ます。
一般的には筋膜リリースを行うときフォームローラーという専用のツールが使われますが、テニスボールなどでも代用できます。
そういったツールが無い場合は筋膜リリースの項目を飛ばして腰痛ストレッチを行ってください。
関連記事:筋膜リリースの方法・効果とグリッドフォームローラーの使い方 >
簡単な腰痛改善ストレッチで硬い筋肉を伸ばす

ここからは腰痛改善のためのストレッチを紹介します。
ストレッチにより筋肉の緊張を緩め、関節の可動域を広げます。
前後左右のバランス調整を行うことで身体にかかる負荷を軽減しましょう。
- ゆっくりと伸ばしましょう、勢いは無用です。
- 最低でも10秒くらいは伸ばしましょう。
- 長くても90秒くらいにとどめてください。
- 深呼吸しながらリラックスして行いましょう。
骨盤後傾タイプにおすすめな2つのストレッチ
骨盤後傾タイプ向けのストレッチです。
骨盤が後傾してる方は前傾にするのが苦手なので、その練習もかねてストレッチをしましょう。
1.ハムストリングスのストレッチ【立位】
太ももの裏側のストレッチです。
二つ紹介するのでやりやすい方でやってみましょう。
まずは立った姿勢で行うストレッチです。
①脚を前後に開き、後ろの脚の膝と股関節を軽く曲げます。
手は前の脚の太ももにでも置きましょう。

②お尻を突き出すように、後ろに引きます。

腰が丸まらないように注意しましょう。
膝が曲がってしまうことも多いので気をつけてください。
1-2.ハムストリングスのストレッチ【座位】
立位ではバランスを取るのが難しかったりもするので、座って行うものも紹介します。
実際座っていた方がリラックスできるのでお勧めです。
①ストレッチする方の脚を伸ばし、もう片方の脚は膝を曲げて横に開きます。

②骨盤から傾けるように、身体を前に倒します。

こんな感じで腰が丸まらないようにしましょう。

2.お尻(大臀筋)のストレッチ
次はお尻にある大臀筋のストレッチです。
仙骨を支えている筋肉でもあるので、固まらないように日々ストレッチを行いましょう。
①脚を組みます。組む脚は足首辺りがもう片方の脚の太ももに当たるようにしましょう。

②下の脚の太ももを持ちます。

③下の脚の太ももを身体に引きつけます。

このとき、背すじを伸ばして腰が丸まらないようにしましょう。
丸まるとこんな感じです。

角度を変えるとこんな感じ。

これは結構気持ちいいですよね。
私も寝る前にベッドでゴロゴロしながらやりますね。
骨盤前傾タイプにおすすめな2つのストレッチ
次に骨盤前傾タイプ向けのストレッチです。
骨盤前傾の方は太ももの付け根から前側のストレッチがメインとなります。
仰向けに寝ると腰が痛いという方はこちらストレッチをすると楽になるかもしれません。
1.股関節の付け根(腸腰筋)のストレッチ
腸腰筋は伸ばしたことない人も多いと思いますが、骨盤の前傾にはかなり関わりが大きいです。
①脚を前後に開き、両手を付きます。
前の脚の膝を90度以上にするのがポイントです。

②骨盤を床に近づけるように降ろしていきます。
後ろの脚の付け根辺りに伸び感が出るようにしましょう。

2.太もも(大腿直筋)のストレッチ
大腿直筋は股関節と膝関節をまたぐ強力な筋肉です。
反り腰の方は大腿直筋が非常に硬くなりがちですね。最初はすごく痛いかもしれませんので、少しずつ伸ばすように心がけましょう。
①腸腰筋のストレッチと同じように脚を前後に開きます。

②後ろの脚の甲を、反対の手で掴みます。
写真は右足が後ろなので左手で持っています。
もう片方の手でバランスを取ってください。

③なるべく膝を曲げたまま、お尻を下に降ろします。
すぐ伸び感が出ると思いますので、その位置で止めます。

深呼吸しながらリラックスして行いましょう。
オフィスでもできる!動画付き関節の体操

関節が硬くなってしまうとちょっとした動きでも腰が痛くなりやすくなってしまいます。
日々関節を動かすことで関節内に潤滑液が出て、動きにも余裕が生まれます。
動かすと痛いから動かしたくないという方は多いですが、動かさないというのは症状を悪化させてしまうこともあります。
少しずつでも良いので痛くない動きから取り入れるようにしましょう。
腰痛改善のための3つの関節運動
実際に関節を動かしますので、痛みのある場合は無理をせずに小さい可動域から始めましょう。
人によって効果のある種目は異なります。
やる前とやった後の腰痛の具合を確認していただき、効果のあるものは続けて行うようにしましょう。
1.背骨を縦に動かす四つん這いの体操
キャット&ドッグという種目で背骨を縦に動かしましょう。
■やり方
①肩の下に手の平、股関節の下に膝がくるように四つん這いになります。
②猫のように背中を丸めます。
骨盤の動きを意識し、後傾に入れます。
③背中全体を落とし、腰を反らせます。
反り腰気味の方は反り過ぎないように注意しましょう。
2.背骨を横に動かす、椅子でできる体操
いわゆる側屈の動作です。
上半身を動かす側屈をやる人は多いと思いますが、この動作は脇腹の力で骨盤を持ち上げます。
横方向の動きを取り戻し、腰痛改善に向かいましょう。
■やり方
①椅子に背すじを伸ばして座り、なるべく膝を閉じます。
②片側のお尻に体重をかけ、反対側の骨盤を上に挙げます。
③脇腹の力で骨盤を挙げるのがコツです。
3.背骨をひねるストレッチ
反り腰気味の方は腰の筋肉が緊張していることが多いです、筋肉のストレッチと合わせて捻りの動作も加えるようにしましょう。
①仰向けに寝て膝を立て、手は横に広げましょう。

②体幹を捻るように片方の脚を反対側に出します。
出した脚を反対の手に近づけるとより伸び感を感じられると思います。

腰は緩めすぎると腰痛の原因にもなりかねませんので注意が必要です。
片側30秒くらいを目安にストレッチをやりましょう。
さらに3つの体幹トレーニングで腰痛予防!

ストレッチや関節の体操で身体のバランスを整えたら、体幹トレーニングで関節を支える力を付けましょう。
多くの腰痛は筋持久力不足ともいわれていますので、すごく強い力よりも、長く使える力が必要です。
ご自身の体重をコントロールする力を身につけることで腰痛の改善に繋がります。
もし強度が高いと感じる場合は無理をせず、やれる種目から行いましょう。
1.ドローイン
ドローインはお腹を凹ませる腹横筋のトレーニングです。
私の動画では無いのですが、わかりやすいので筋トレTVさんの動画を共有させていただきます。
腹横筋は肋骨が無い部分を覆う筋肉で、コルセット的な役割を大きく担いますので、腰痛持ちの方はまず腹横筋に力を入れる感覚を身につける必要があります。
まずは寝た姿勢から始め、立ち姿勢でも出来るようにしていきましょう。
2.スパインプランク

スパインプランクは身体の後ろの面全体の筋肉を使う種目です。
多裂筋や脊柱起立筋の筋持久力を鍛えることで、腰痛予防となります。
■やり方
①膝を伸ばして床に座り、両手をお尻の横に着きます。
②お尻を持ち上げ、その姿勢をキープします。
1セット20秒くらいを目安に、3セット程行うようにしましょう。
3.フロントプランク
フロントプランクは全身の筋肉を同時に収縮させるレベルの高い種目なのですが、今回は腰痛改善のために体幹部の収縮に焦点を当てます。

■やり方
・うつ伏せで肘を立て、つま先と肘で身体全体を持ち上げてキープします。
20秒くらいを目安に、腹筋に力を入れて行いましょう。
もしも強度が高いと感じたら膝を着いて行いましょう。

お腹とお尻にギュッと力を入れて行いましょう!
腰痛を再発させないために
今回の腰痛体操や体幹トレーニングは多くの腰痛気味の人に効果があると思いますが、万能ではありません。
それは腰痛は普段の歩行動作や姿勢に問題があることが多いからであり、根本から日常動作を改善しない限り完治するということはあまり無いのではと感じています。
私のようなパーソナルトレーナーは姿勢や動作をチェックし、個人にに合ったストレッチやトレーニングを提案することはできますが、毎日一緒に過ごすわけではありません。
普段の姿勢、座る姿勢、歩き方、かがみ方、階段の昇り方など、腰痛になり得る場面は日常生活にたくさんあります。
腰痛を再発させないためにも正しい姿勢や動作を身につけるということを大切にし、生活を送るようにしましょう。
湿布を貼って安静にするということは自らの活動で治すということではありません。
初めの一歩として筋膜リリースやストレッチ、慣れてきたらトレーニングにも取り組んでみましょう。
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