鏡の前に立ったとき、「腰がやけに反っているような気がする」と感じることはありませんか。骨盤の前傾や、いわゆる反り腰が気になっている方もいるかと思います。
ただ、骨盤が前に傾いていることと、腰の痛みがあることは同じではありません。見た目だけで原因を決めず、動かしやすさや体の感覚も見ていきましょう。
そこでこちらの記事では骨盤の前傾や反り腰が気になる人向けのストレッチやトレーニングを紹介します。
ストレッチで動かしやすい範囲を探しながら、お腹やお尻を使う練習も取り入れる。そんな「整えながら鍛える」進め方を紹介します。全部を一度にやらず、できそうなものから試してみてくださいね。
骨盤の前傾と反り腰は、同じ意味ではありません

骨盤の前傾というのは、骨盤全体が前方に傾く動きや位置のことです。一方、反り腰は腰の反りが強く見える姿勢を指す言葉です。
両者は関連しますが、同じ意味ではありません。痛みのない人にも骨盤の前傾は見られ、傾き方には個人差があります。
図のように見えるからといって、お腹やお尻が弱い、特定の筋肉が硬いとは言い切れません。
腰の反りをなくすことだけを目指さず、力みすぎずに姿勢を変えられるか、脚を動かすときに腰まで大きく反ってしまわないか、といった点にも目を向けましょう。
ストレッチと筋トレで意識したい筋肉
- 腸腰筋(ちょうようきん):股関節の前側にある筋肉
- 大腿直筋(だいたいちょくきん):太ももの前側にある筋肉
- 脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん):背骨に沿う筋肉
- ハムストリング:太ももの裏側の筋肉
- 大臀筋(だいでんきん):お尻の筋肉
- 腹筋などの体幹部の筋肉
股関節や背骨を動かすストレッチに加え、お尻や太ももの裏側を使う運動、腰を反らしすぎずに脚を動かす練習を組み合わせていきます。
上の一覧は、全員に当てはまる「硬い筋肉・弱い筋肉」の診断表ではありません。ストレッチも筋トレも、実際に無理なく行えるかを確かめながら選んでみましょう。
補足 前屈の得意・苦手で判断できる?
前屈や後屈には、股関節や背骨など複数の動きが関わります。得意・苦手だけで、骨盤が前傾か後傾かを判断することはできません。
座ると腰が丸まりやすいなど、骨盤の後傾についても気になる場合は、以下の記事で見直し方を紹介しています。

骨盤前傾タイプのためのストレッチ
まずは、股関節の前側や腰周りを無理なく動かしてみましょう。反動をつけず、気持ちよく伸びる範囲で行います。
初めてなら、ストレッチは左右それぞれ15〜20秒ほどを1回、動きを繰り返す種目は5回ほどを1セットから。これは始める量の目安なので、少なくても構いません。まずは1〜2種目を選びましょう。
動かして痛みが出たり、痛みが強くなったりしたら中止してください。痛みが続く、しびれがある場合は医療機関に相談しましょう。急に強い痛みが出た場合は、早めに受診しましょう。腰痛とともに新たな排尿・排便の異常や、両脚に力が入らない症状が出た場合は、すぐに救急で受診してください。
腸腰筋のストレッチ
股関節の前側を伸ばすストレッチです。片膝立ちになり、前後に脚を開いて、両手を床について支えます。後ろの膝の下には、必要に応じてタオルを敷いてください。
後ろ脚の付け根が心地よく伸びるところまで、骨盤をゆっくり下げます。腰を大きく反らせたり、深く沈み込もうとしたりしなくて大丈夫です。床に手が届かず姿勢が安定しない場合は、この形で無理に行わないようにしましょう。
大腿直筋のストレッチ
太ももの前側を伸ばすストレッチです。動画では片膝立ちで前後に脚を開き、片手を床につき、反対の手で後ろ脚の足の甲を持っています。
その姿勢から、太ももの前が伸びる範囲で少しずつ骨盤を下げます。膝が痛い場合や、足を持とうとして姿勢が崩れる場合は無理に行わず、この種目は飛ばして構いません。
腰のストレッチ
仰向けに寝て両手を横へ広げ、片方の膝を曲げて反対側へゆっくり倒します。腰周りが心地よく伸びる範囲で止め、呼吸を続けましょう。
膝を床につけようと押し込む必要はありません。捻ると痛い場合は、このストレッチは行わないようにしてください。
骨盤前傾タイプのためのコレクティブエクササイズ
コレクティブエクササイズは、関節の動かし方や体を支える感覚などを練習する運動です。ここでは、背骨を丸める・反らす・捻る動きを、力まず行っていきましょう。
キャット&ドッグ
四つんばいになり、肩の下に手、股関節の下に膝を置きます。息を吐きながら背中をゆっくり丸め、戻すときは骨盤から小さく動かして、背骨全体で緩やかな反りをつくります。
腰だけを強く反らせたり、丸めようと頑張りすぎたりせず、動かせる範囲を行き来しましょう。手首や膝が痛くなる場合は中止してください。
ローテーション・エクササイズ
こちらは胸周りを捻る練習です。横向きに寝て、下の脚は伸ばし、上の脚は股関節と膝を曲げます。上側の膝の下にクッションなどを置き、両腕を体の前へ伸ばしましょう。
上側の膝を支えに乗せたまま、上の腕を背中側へゆっくり開いて戻します。腕を床につけることよりも、腰を無理に捻らず胸が動く範囲を大切にしてください。首がつらいときは枕を使い、顔は楽な向きで構いません。
骨盤前傾タイプの為の筋トレ
お尻や太ももの裏側を使う運動と、脚を動かすときに体幹を支える練習です。姿勢だけで筋力の弱さは決められないので、自分に合う負荷から始めましょう。
クワドラプト・ヒップエクステンション
大臀筋のトレーニングです。四つんばいから片方の膝を曲げ、かかとを天井へ向けるように脚を少し持ち上げ、ゆっくり戻します。
高く上げることよりも、腰を大きく反らしたり、骨盤を横へ開いたりせずに動かすことを意識しましょう。呼吸を止めず、左右とも少ない回数から行ってみてください。
ストレート・レッグブリッジ
ハムストリングやお尻を鍛える種目です。動画では仰向けで片脚のふくらはぎをポールに乗せ、反対の膝を抱え、支えている脚でポールを押してお尻を持ち上げています。
片脚で支えるため、初めての方には負荷が高めです。まずはポールを使わず、仰向けで両膝を立て、両足で床を押してお尻を少し持ち上げるヒップリフトでもいいですね。腰を反らして高さを出さず、ゆっくり上げ下げします。
動画の形に取り組む場合も、ポールが滑ったり転がったりせず安定していることを確認してください。息を止めて長く耐えたり、つりそうな状態で続けたりする必要はありません。
ニー トゥ チェスト
お腹で体を支えながら、脚を曲げ伸ばしする種目です。床に座って両手を体の後ろにつき、膝を曲げたまま両足を少し浮かせます。
膝を胸に近づけたら、腰が大きく反らない範囲で脚を少し伸ばし、また曲げます。脚を真っすぐまで伸ばさなくても大丈夫です。勢いをつけず、姿勢を保てる小さな動きで行いましょう。
腰や股関節が痛い場合は中止してください。足を浮かせた姿勢を保つのが難しい場合も、無理にこの種目を選ばなくて構いません。
おわりに
骨盤の前傾や反り腰が気になると、つい見た目の形を直そうとしてしまいます。ただ、腰の反りをなくしたり、お腹やお尻に一日中力を入れたりする必要はありません。
ストレッチで無理なく動かせる範囲を探し、トレーニングでその動きを支える練習をする。まずは1〜2種目から、自分に合ったものを取り入れましょう。
普段も胸を張りすぎて力んでいないかを確かめ、同じ姿勢が続いたら立つ・歩くなど、姿勢を変えるきっかけをつくってみてください。
参考資料
- Herrington(2011):Assessment of the degree of pelvic tilt within a normal asymptomatic population(痛みのない人における骨盤の傾きの個人差)
- NHS:Back pain(腰痛の原因、活動と運動の注意点)




