「いろんなエクササイズがあるけど、どんな順番でやればいいの?」といった疑問をお持ちではないでしょうか。
筋トレを中心に行う日は、ウォーミングアップで体の準備を整え、筋トレ、有酸素運動、クールダウンと進めるのが一つの目安です。筋膜リリースやストレッチは、準備運動の中や運動後に、目的に合わせて取り入れます。
ただし、全員が同じ順番で、すべての運動を行う必要はありません。こちらの記事では基本の流れと、それぞれをどこに入れると良いかを紹介します。ご自身のトレーニングに合わせて参考にしてみてください。
筋トレと有酸素運動は、どちらを先にやる?
順番を考えるときは、まず何を目的に運動するかを決めましょう。ウォーミングアップをした後は、体力があるうちに、優先したい運動に取り組むと考えるとわかりやすいですね。
- 筋力をつけたい場合:筋トレを先に行い、有酸素運動を後にする組み立て方が向いています。先に長く走って、筋トレの途中で力が出なくなるようなら、順番や量を見直しましょう。
- 歩く・走る力を伸ばしたい場合:準備運動の後に、メインのウォーキングやランニングを行います。筋トレもするなら、疲れ具合に合わせて量を調整するか、別の日に分けます。
- 運動不足の解消が目的の場合:続けやすい内容を選び、時間や器具の空き具合に合わせて調整しても構いません。
高齢男性の研究では、筋トレを先にした方が脚の筋力の伸びが大きかったと報告されています。筋力づくりの順番を考える参考になりますが、どんな目的でも同じ順番が良い、ということではありません。
筋トレを中心にした日の、エクササイズの順番
簡単に確認できるように、ウォーミングアップからクールダウンまでを5つに分けて紹介します。バランスの練習など、必要のない項目は省いて構いません。
動き始めは、体が動かしにくいこともありますよね。いきなり重い負荷をかけず、軽い運動から始めましょう。
- 軽い有酸素運動
ゆっくり歩く、軽く自転車をこぐなど、楽に会話ができる程度で5〜10分を目安に始めます。この後の運動に合わせて時間を調整してください。 - 必要に応じて筋膜リリースやストレッチ
動かしにくい部分があれば、フォームローラーや短いストレッチを取り入れます。毎回、全身を一通り行わなくても大丈夫です。 - 体を動かす準備運動
肩や足首を動かしたり、軽く膝を曲げ伸ばししたりします。ラジオ体操のように、動作を伴うダイナミックストレッチですね。スクワットをするなら、重りを持つ前に自体重で動きを確認しておきましょう。
姿勢や動作を整えるためのコレクティブエクササイズも、ここに入ります。例えば、スクワット前に股関節を曲げる動きを練習するなど、これから行う種目につながる内容を選びます。
最初の軽い有酸素運動は、体を少しずつ運動に慣らすためのものです。筋トレの前に歩いてはいけない、という意味ではありません。
片足立ちなどのバランストレーニングや、手足を組み合わせて動かすコーディネーショントレーニングも行うなら、この段階に入れる方法があります。疲れ切る前に、動きの正確さを意識して取り組みましょう。
例えば、安定した台に手を添えて片足立ちをする、ゆっくり足踏みをしながら腕も動かす、といった内容です。長く続けることや速く動くことより、ふらつかずにできる範囲を探してください。
スポーツで使う、素早く方向を変えるアジリティトレーニングもこの仲間です。ただ、健康のために運動を始める段階で、すべてを取り入れる必要はありません。
ここからが、いわゆる筋トレですね。筋力をつけたい日なら、しっかり取り組みたい種目を先に行います。例えばスクワットを丁寧に練習したいなら、他の種目で脚が疲れる前に取り組むと良いでしょう。
最初は自分の体重や軽い重りで、動きを確かめながら行います。回数を増やすために姿勢が崩れるようなら、いったん休みましょう。
瞬発力・筋力・筋持久力のトレーニングは、目的に応じて日や期間を分けることも多く、毎回すべて行うものではありません。
運動を始めたばかりなら、難しいジャンプや重い負荷を急いで取り入れず、基本の動作に慣れるところからで大丈夫です。
ウォーキング、ランニング、バイク、クロストレーナーなどから、取り組みやすいものを選びます。筋トレを中心にする日は、この段階で行うと組み立てやすくなります。
時間は体力やその日の疲れに合わせましょう。初めは5〜10分から試すのも良い方法です。30分以上続けないと意味がない、ということはありません。健康づくりのための活動は、短い時間に分けて積み重ねることもできます。
ダイエットが目的でも、「筋トレの後なら必ず痩せる」と順番だけで判断しないようにしましょう。筋トレで疲れた日は、無理に追加せず、別の日や時間帯に分けて構いません。
最後は歩く速度や自転車の負荷を徐々に下げ、呼吸を落ち着かせます。特に息が上がる運動をした後は、急に止まらず、5〜10分ほどかけてペースを落とすのが目安です。
その後、伸ばしたい部分があれば、反動をつけずにゆっくりストレッチを行いましょう。呼吸を止めず、強い痛みが出ない範囲で行ってください。
筋膜リリースとストレッチは、どの順番で入れる?
ここで、それぞれの役割も整理しておきます。ストレッチは筋肉を伸ばす運動で、筋膜リリースは、この記事ではフォームローラーなどで筋肉の周辺に圧をかけるセルフケアを指しています。
筋トレ前は、ほぐした後に動きの練習をする
両方取り入れるなら、軽く体を動かす→必要な部分にフォームローラーを使う→伸ばしたい部分を短くストレッチする→動きながら準備する、という組み合わせが一例になります。
ただし、筋膜リリースとストレッチの前後関係を、必ず守る順番と考えなくて大丈夫です。両方行うことより、その後のスクワットや腕を上げる動作が無理なくできるかを確認しましょう。
フォームローラーを使うときは、強く押しつけたり、痛みを我慢して長く転がしたりしないようにしてください。ほぐすことだけで終わらず、実際に動くところまでつなげたいですね。
止まって伸ばすストレッチは、運動前でも良い?
一定の姿勢で止まって伸ばすものを、スタティックストレッチ(静的ストレッチ)といいます。
運動前の静的ストレッチを、すべて避ける必要はありません。男性スポーツ選手を対象に、短い静的ストレッチの後に動的な準備運動まで行った研究では、走る・跳ぶといった運動の成績は低下しませんでした。
筋トレ前に行うなら、伸ばしたままで終えず、軽く動いてメインの種目につなげましょう。
ゆっくりと柔軟性の向上に取り組みたい場合は、運動後や別の時間に分けると組み立てやすくなります。
15〜20秒ほど、痛みのない範囲で伸ばすところから試してみてください。
筋膜リリースは、筋トレ後にも必要?
運動後に取り入れることもできますが、毎回必ず行うものではありません。
呼吸を落ち着かせてから、心地よく行える範囲で選びましょう。使うことで痛みが強くなるなら、その日はやめておいてください。
運動前はこれから行う動きの準備として、運動後は必要に応じたセルフケアとして考えると、使うタイミングを決めやすいと思います。
全部やろうとせず、目的と時間に合わせましょう
時間が短い日なら、軽く歩いて体を温め、スクワットの動きを練習してから筋トレを行い、最後にゆっくり歩いて終える。
バランスの練習や有酸素運動は別の日に分ける。こうした組み立て方でも構いません。
体を整えてから鍛えることは大切ですが、準備を完璧にしようとすると、それだけで時間を使ってしまいます。
今日のトレーニングに必要なものを選んで取り入れてみてください。
運動中に痛みやめまい、いつもと違う強い息苦しさが出たら中止してください。
症状が続く場合や、持病・けがで運動の制限がある場合は、医師に適した内容を確認しましょう。
まとめ
紹介した順番は、筋トレを中心に行う日の基本的な組み立て方です。もちろん、疲れ具合や目的を考慮して応用してもらって構いません。
筋膜リリースやストレッチで必要な準備をし、実際の動きを確かめてから鍛える。
そして最後は少しずつペースを落として終える。
ご自身の体の状態を確認しながら、無理なく取り入れてみてください。
参考資料
- 米国心臓協会:Warm Up, Cool Down(運動前後のペース調整と時間の目安)
- 米国CDC:Adult Activity: An Overview(活動を短い時間に分けて積み重ねる考え方)
- Cadoreら(2013):Neuromuscular adaptations to concurrent training in the elderly: effects of intrasession exercise sequence(高齢男性で筋トレと有酸素運動の順番を比較した研究)
- Blazevichら(2018):No Effect of Muscle Stretching within a Full, Dynamic Warm-up on Athletic Performance(動的なウォーミングアップに組み込んだ短いストレッチの研究)
- 英国NHS:How to stretch after exercising(運動後のストレッチ例と注意点)
- MacDonaldら(2013):An acute bout of self-myofascial release increases range of motion without a subsequent decrease in muscle activation or force(フォームローラー使用後の膝の可動域と筋力を調べた研究)




